Project Story 04

生駒硝子 足立営業所
新築工事

設計・施工管理業務
Prologue
設計部門と施工部門の密な連携が築いた新たな現場のかたち

自動車ガラスの修理・交換を手がける生駒硝子株式会社様が、足立区に新たな営業所・工場の建設を計画しており、そのプロジェクトパートナーに選ばれたのが、フロンティアコンストラクション&パートナーズ(以下、FC&P)である。
これまで改修工事を中心に実績を重ねてきたFC&P建築工事グループだが、設計から施工までを元請けとして一貫して担当する新築案件は今回が初の試みである。
設計・営業を担う遠藤氏と、現場管理を担う武田氏の密な連携と、顧客の業務に徹底的に寄り添う姿勢が前例のないプロジェクトを成功に導いた。
設計と現場、そしてお客様の声が一つになった新しい拠点づくりの舞台裏を振り返る。

Section 01
スピード対応と顧客への寄り添いが切り拓いた
設計施工一貫物件

生駒硝子株式会社様の足立営業所新築計画は、当初は別の会社に依頼されていた。しかし、思うように計画が進まず、以前から付き合いのあったFC&Pの営業担当者へと相談が持ち込まれる。
この営業担当者から「プランと金額をなるべく早く出してほしい」との指示を受け、設計・営業を担う遠藤氏が業務フローや動線に着目したうえですぐにラフプランを作成し、具体的な金額も提示。動きの早さと顧客目線の提案内容が評価され、設計から施工まで全てを任せていただける形での受注が決まった。

「金額面では他社より若干高かったと伺いましたが、提案内容や対応のスピードが決め手となり、最終的に当社を選んでいただけました。今回が当社初の設計施工一貫体制で元請けを担う案件でしたので、社内でも非常に大きな転機となりました」と、遠藤氏は語る。

Section 02
現場目線を活かした最適解――使いやすさと合理性の追求

設計段階で最も重視したのは、現場で日々働く生駒硝子株式会社様のスタッフが「本当に使いやすい」と思える機能や動線を徹底的にヒアリングし、要望を洗い出すことだった。

「お客様からの主なご要望は、同時に複数の車両が入るスペースの確保や効率的で安全な動線設計、大型車にも対応可能な天井の高さなど現場オペレーションに直結するものであり、とにかく業務の現実に即した“使い勝手”を重視する要望をいただき、何度も検討を重ねました」と遠藤氏。

特に最大の工夫となったのは、角地である立地の特性を活かした2方向からの車両出入りの動線計画である。他社案が一方向だけの出入り口設計だったのに対し、道路に面した2ヶ所に大型シャッターを設けたことで、奥の車両もスムーズに出入りでき、作業効率と安全性が大きく向上した。
さらに、建物形状はコスト面も考慮し、シンプルな長方形を選択。階段も1ヶ所のみに集約し、階高も必要最小限に調整することで、建築コストの削減と有効スペースの最大化の両立を図った。役所や消防との協議も丁寧に重ね、法令と実際の使い勝手双方を両立させる最適解を突き詰めていった。

また、プランの初期段階から3Dパースを活用し、「実際の使い勝手・仕上がりイメージ」を分かりやすく顧客に共有し、合意形成や細部のすり合わせを重ねることで、顧客が納得できる空間づくりを徹底した。
遠藤氏曰く、「この動線計画が最もご評価いただけたポイントでした。2方向から車両が出入りできるアイデアは、業務効率や現場安全への実質的な効果をもたらしたと思います」

Section 03
密な連携が生んだ品質とスピード。“現場発”の提案力

現場代理人を務めた武田氏は、設計・営業担当の遠藤氏や生駒硝子株式会社様の担当者と密にコミュニケーションを取りながら、「後戻りや手戻りが起きないよう徹底的に確認しながら進めた」と振り返る。
疑問点や問題があれば即座に遠藤氏に連絡し、また遠藤氏からお客様にも確認を依頼するなど、現場~設計~顧客の三者連携を徹底。現場の進行を止めずに問題を解決し、状況に応じて即時に判断したり、別作業への切り替えも行った。

武田氏は「1日に5回、6回は電話などでやりとりする日もありました。現場で“あれ?”と思ったらすぐ連絡し、現状維持に固執せず、すぐにアイデアを出し合うことでタイムリーな修正や提案ができました」と語る。
生駒硝子株式会社様の役員の方々も頻繁に現場を訪問され、進捗や細かな要望を直接確認していただきました。現場での細かな調整や追加提案も現場管理側から積極的に行い、現場での気づきから生まれるアイデアや修正点を設計に即反映できる体制を築くことができた。

また、初の新築案件ということで、協力業者の選定や見積もイチから見直し、図面の精度も高め、見積や工程計画の信頼性を高めるよう意識した。
そうした密な連携とフレキシブルな調整の積み重ねが、当初の予定から数週間も早く竣工へこぎつけ、非常にスムーズな現場運営を実現することが出来た。

Section 04
設計施工一貫体制がもたらした機動力と安心感

今回のプロジェクトでは、設計と施工の情報共有が常に密に行われたことが、現場の柔軟な対応や顧客満足につながった。プラン策定から現場対応までワンストップで進むことで、情報共有や意思決定のスピードが大幅にアップした。
遠藤氏は「連携がしっかり取れていたおかげで、ミスがなく現場が進められた。お互いの役割を明確にしつつ、作業内容が重複しそうなグレーな部分は都度話し合い、納得したうえで進めることが出来た」と振り返る。
設計と現場がワンチームで動く一貫体制だからこそ、顧客の細かな要望や急な修正にもストレスなく応じることができ、他社にはない“現場の一体感”と“信頼感”を生み出したといえるだろう。

Section 05
新築のやりがいと学びを次世代へ
――拡がる“連携”と多様な挑戦

今回の新築プロジェクトは、FC&Pにとって設計施工一貫体制で元請けを担う初めての案件であり、大きなやりがいと同時に、現場運営における連携の大切さを改めて実感する経験となった。
武田氏は「達成感と責任の重さを強く感じた」と振り返る一方、「現場での細かな連携や若手育成の重要性も痛感した」と語る。今後は自身だけでなく、社員全体で密な連携を取れる体制を築くこと、若手に現場を任せて成長を促すことを目指している。
また、組織として年1件ペースでの継続的な新築案件の受注を目指し、案件の幅や提案内容も広げていく方針だ。
遠藤氏も「今回の経験を活かし、設計提案やコミュニケーション力を持つ人材を増やしたい」と語る。グループ内では図面作成や3Dパース作成のスキルを持つ人材が少ないことから、今後は若手の設計力・提案力の育成にも積極的に取り組む。
今回の新築プロジェクトを通じて得たノウハウとチームワークを、今後の現場やお客様への価値提供に活かし続けていくことが、FC&Pの新たな目標となっている。