Project Story 01

川崎市 富士見公園
再編整備事業

PFI+Park-PFIの複合型官民連携事業
Prologue
地域とともに育つ、公園の新しいかたちを

長年にわたり川崎市民の憩いの場として親しまれてきた富士見公園は、今後のまちのあり方を見据え、より多機能で持続可能な公共空間へと歩みを進めている。
富士見公園再編整備事業は、施設の老朽化などの課題を解決するとともに、公園本来の緑地や広場を充実させ、総合公園としての機能充実によって憩いと活気あふれる都市型公園への再構築を目指す取り組みだ。PFIとPark-PFIを組み合わせた全国でも先進的な官民連携のスキームが採用されたこの事業で、フロンティアコンストラクション&パートナーズ(以下、FC&P)は統括管理業務と運営維持管理業務を担う主幹的な事業者として参画。段階的な整備を経て、地域とともに育ち続ける持続可能な公園をつくり運営していく。

Section 01
公園事業という“フロンティア”に挑んだ理由

「富士見公園に関する当社の取り組みの始まりは3年以上前、2021年頃でした。当社がPPP(官民連携)事業の柱として“公園事業”に注力しはじめた頃です」
そう語るのは、富士見公園再編整備事業を主導した益田氏。公園の整備・運営を“まちづくり”の一角として捉え、FC&Pは、建築技術サービスを広く手掛ける会社としての知見を背景に、まだプレーヤーが限られており、事業形態も旧態依然と感じられた公園事業への参入に新しい可能性を見出した。

「当時、公園事業は造園会社などが担っていることが多く、“昔から変わっていない”という旧態依然のイメージが強い世界でした。ただ、公園事業に関する制度も少しずつ整ってきて、我々のような新規参入者にこそ事業を拡げられる可能性が出てきた。公園には“変えていける余地がある”と思ったんです」
富士見公園は、戦後から続く大規模公園として長年市民に親しまれてきた一方、施設の老朽化や一部機能の陳腐化といった課題を抱えていた。都市の防災機能や地域のにぎわい拠点としての再定義が求められる中で、従来の公園のあり方を見直し、地域に根差した新たな価値を創出する取り組みとして、本事業はスタートした。
「今後FC&Pが公園事業を推進していくうえで、社内外への認知を広げるという意味でも象徴的な案件だった」と益田氏は振り返る。
特に“川崎フロンターレさんと組むことで地域活性化につながる公園運営ができる“という初期段階での手応えが、本事業の大きなモチベーションになったという。「どういう公園にしていくかという行政サイドとの議論においても、やはり“フロンターレと連携”というワードは強かった」と振り返る。
FC&Pはこのプロジェクトを通じて、公園事業における実績と知見を積み上げると同時に、建築技術者としてのサービスだけでなく、事業者の立場としてもまちづくりにも関わっているという意識を社内にも広げている。

Section 02
地元企業との連携で描いた共創のかたち

本プロジェクトのひとつの特徴は、多彩な企業が関わる“コンソーシアム”の組成にある。株式会社川崎フロンターレ様のほか、地元建設会社や地元造園会社にも参画してもらい、土木会社や維持管理会社なども加わった大きなチームを形成している。それぞれの知見とネットワークを融合させて事業を組み立てていった。
「まず大事にしたのは、市がどんな課題感をもっていて、どういう公園をつくりたいのかを、きちんと理解することでした。

計画に民間の視点を織り交ぜつつ、市の意向とすり合わせていく。その積み重ねがこの公園のかたちにつながっています」
例えば、川崎市の初期検討段階の頃は公園の北側一帯を全面立体駐車場にして屋上にテニスコートを設置する案があったが、収支や景観への配慮、機能性や維持管理の観点からプランニングが大きく変わっていった。最終的に、公園の北側は地に面した12面のテニスコートと木造のクラブハウス、FC&Pが提案したカフェのほか、平面の駐車場とイベントスペースにもなる相撲場を設置するプランに落ち着いた。また、公園内の商業施設についても大規模に設ける案が検討されていたが、利用者のニーズや公園にふさわしい規模感を考慮し、小規模な飲食店舗とペットサービスの3店舗として、公園機能の一翼を担い公園の魅力向上にも資するプランとした。
コンソーシアム組成の過程では、設計・工事・運営の各分野において、地元企業に優先的に声をかけて積極的に参画してもらった。
「地元企業のダイシ造園さんは、再編整備前の富士見公園で下請けとして植栽管理をされていたのですが、本事業ではコンソーシアムに直接参画してもらっています。従前は植栽の維持管理において実務を担っている者の声が反映されにくいというジレンマもあったと聞いていますが、そういったマイナス面も解消できたと思っています。実際に運営開始後も経験豊富な実務者ならではの意見や対応に助けられることが多々あります」
このように、地元企業との協働体制を構築することで、公園の維持管理における地域貢献や地域活性化の循環にもつながっている。また、PFIやPark-PFIといった制度により、民間が公共事業に主体的にかかわることができた結果、新たな公園のかたちが形成されるに至った。

Section 03
プロジェクトを動かす“想定力“

再編整備の初期段階では、事業スキームや収支構造が固まっておらず、いろいろな条件が不透明な中で、FC&Pの本事業の取り組みはスタートした。請負体質の企業ではプロジェクトは条件が固まるまで進められないことが多い。
「早い段階から川崎市や関係者との対話を重ね、自分たちでスキームを想定し、ラフプランも自ら考え、事業収支や事業スケジュールも想定を進めていった。コンソーシアム組成に際しても、この事業の”枠組み”を事前に示すことで、各社の理解が進み、合意形成がスムーズにいったと感じています」
建築技術サービスでの知見を活かし、株式会社川崎フロンターレ様や地元企業にも分かりやすく事業スキームや事業規模、収支想定を提示。複雑にからむ要素を整理して“見える化”することで推進力につなげていった。

Section 04
多様性と共に育つこれからの公園像

富士見公園の整備は、単なる施設更新にとどまらない。多様性に応える「インクルーシブな公園」を目指し、子ども、高齢者、外国人、障がいのある方など、誰もが安心して利用できる整備プランや運営計画がなされている。
バリアフリー動線や、視認性に優れたサイン計画、公園内の各機能のつながりに配慮したゾーニングや区画により、公園利用の多様な選択肢が広がった。また、自然体験・スポーツ・飲食・ペットサービス・イベントを通じ、訪れる人に“新たな体験”をもたらす多彩な運営も特徴になっている。

さらに、地域との関係づくりにおいては、一部の声に偏るのではなく、「共育」という姿勢を大切にしている。川崎市や地域企業、商店街や運営パートナーとの対話を通じて、ゆるやかに関係者を巻き込みながら、変化を受け入れ共に育つ体制を築くことを目指している。
「完成して終わりではなく、地域とともに育っていく場所にしたい」その言葉通り、公園は今も少しずつかたちを変えながら、利用者との関係性を深めていくのだろう。

Section 05
公園事業がもたらした成果と次なる挑戦

2024年10月のオープン以降、富士見公園には多くの来園者が訪れている。芝生広場やカフェ、遊具エリアなどの新設によって、公園の魅力は確実に向上した。
「この事業を通じて、複雑な事業スキームを組み立てきれたことは自信にもつながりましたし、公園事業の計画から整備、運営まで一気通貫で携われたことは、当社の今後の公園事業推進にも大きな意味があったと感じています」
複雑な官民連携事業を成功に導いたことで、FC&PはPPP公園事業分野における確かな実績を得た。社内的にもFC&Pにおける “新しい公園事業のかたち”の認識が進みつつあり、今後のプロジェクト選定や社外連携にも波及効果が生まれている。
「事業を獲得することだけを目的とせず、我々が関わることが広い意味で良い結果につながるかどうかを考えながら、意義のあるプロジェクトに取り組みたい。その意味でも富士見公園は、自分たちにとっての分岐点になりました」
公園整備と運営によって地域の活性化をはかり、まちの成長にもつなげる可能性を追うこのプロジェクトは、次の挑戦への確かな土台となっている。

川崎市 富士見公園
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